バスの車内デジタルサイネージ クラリオン、西武バスと実証

「動画CM」有効性確認 新たな収益源として期待

バス機器分野でトップシェアメーカーのクラリオンは、西武バスと共同で「バス車内サイネージ(看板)広告」の実証実験を実施した。
結果、70%超がサイネージを認識するなど、「バス車内における動画CMの有効性が確認できた」という。
しかし、同時にコンテンツ面での課題も明らかになった。デジタルサイネージがバス事業者の新たな収益源になり得るのか。実証実験の結果から、バス車内広告発展の可能性を考える。

定時運行バスは公共交通の柱ではあるものの、ほとんどの事業者が収益減に直面している。
しかし、エネルギー、環境、高齢化などの問題から、今後、バスの重要性が高まることは間違いなく、いかに収益源を確保し、運行本数を増やせるかが社会的テーマと言える。
そうした中、クラリオンは車内表示装置、情報装置の進化を新たな収益源に結びつけるべく、デジタルサイネージに着目。
大宮と羽田空港を結ぶ空港路線バス車内にモニターを設置し、大手企業9社、空港内21舗店などの協力を得て、空港の店舗情報や企業CMなどを放映する実証実験を行った。長時間の乗車となる空港路線バスならではの広告訴求効果を確認する狙いだ。

空港バスに設置したデジタルサイネージ

アンケートの結果、70%超がサイネージを認識し、動画CMに関しては9割近くが印象に残っていると回答。
ほぼ期待通りの結果を得た。特に、40〜50代の認知度が高く、ターゲットの絞り込みにも有効な知見を得られたもようだ。
しかし、空港内の店舗の静止画CMを流し、クーポン券を配布する取り組みでは、クーポン券の利用率は低く、静止画のCMを映すだけでは効果がないことも明らかになった。

ここで大きな課題に直面する。動画CMは認知効果が高い半面、制作コストがかかる。
空港と都市Aを結ぶ高速バス路線であれば、空港内の施設や都市Aのホテルなどが有力なクライアントとして考えられるが、動画CMを製作する負担は重過ぎる。
一方で、すでに動画CMを保有している大手企業にとっては、バスは乗車定員が少なく、広告との接触人数に魅力を感じてもらえないという問題だ。

バス車内広告は、接触時間が長く、深いインパクトを残せるが、その効果を数値化できないというジレンマがある。

バス会社にすれば、広告営業活動のための組織を立ち上げるだけの投資を回収できるかが不透明で、新たなビジネスとしての提案は受け入れにくいだろう。
デジタルサイネージを収益源化するためには、コンテンツ制作コストと配信技術面でのブレイクスルーが必要と言える。
そこでクラリオンでは、西武バスとの共同実験を継続し、広告だけでなく、日立製作所のデジタルサイネージソリューションである「サインチャンネル」を利用したニュース・天気予報などを配信するサービスもスタートさせた。
乗客サービスの充実という視点からのアプローチを強化することで、車内サイネージの有用性を訴える狙いだ。
同社では「運賃表示機の代替えでLCD(液晶ディスプレー)化が進んでいるので、その機を逃さずに営業活動をかけていきたい」としている。

現在、ユーチューブに代表される動画投稿サイトが急速な広がりを見せ、動画の加工作業も一般化しつつある。数年後には個人商店などでも独自に動画CMを作成するようになるだろう。
週末のイベントやセールなどを告知できるよう、配信による書き換えが可能なプラットホームがあれば、空港バスに限らず、路線バスでもデジタルサイネージが普及するかもしれない。

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