「バス事業のあり方検討会」大詰め 貸切バス最低車両台数が焦点

国土交通省の「バス事業のあり方検討会」(座長=中村文彦横浜国立大教授)は2月19日に開かれた第5回会合で、貸切バスの安全対策については、

  1. 全事業者への運輸安全マネジメントの義務付け
  2. 車両運行中の運行管理者業務の明確化
  3. デジタル式運行記録計の装着義務化
  4. 法令試験の受験者は代表権を持つ常勤役員に限定
  5. 安全項目の自主点検の義務化などの事前・事後チェック強化

の方向性は固まった。しかし、新規参入時の最低車両台数の見直しなど、1990年(平成2年)2月の規制緩和の根幹にかかわる部分は継続検討とされた。

バス事業のあり方検討会は3月29日の第6回会合で最終とりまとめを予定している。焦点となっている参入時の最低車両台数(大型車5台、中・小型車3台)に関して、国交省は事業規模と事故との因果関係を実証するデータはないというのが基本的な立場だ。

これに対して、日本バス協会の3委員(小田征一高速バス、上杉雅彦地方交通、富田浩安貸切の各委員長)は連名で「貸切バス事業に関する意見書」を提出し、

  1. 参入時の最低車両台数は現行5台から10台に引き上げ
  2. 資金・運営能力の観点から緩和以前にあった「車齢5年未満の保有車両」規定の復活
  3. 実働率が著しく低下した場合に緊急的に参入の原則停止

―を主張した。
最終とりまとめが迫る中で、貸切バス市場の構造的な改善を唱えるバス業界は正念場を迎える。

日バス協の意見書によると、規制緩和後、92年度(平成4年度)と09年度(21年度)を比べると事業者数は3倍の4392社、車両数は44%増の4万6676台に増えた一方、運送収入は40%減少した
「特に貸切バスの生命線である実働率」が20%低下し、実働日車当たりの営業収入が半分以下になったと指摘し、貸切バス事業者は燃料費は44%増加したものの、人件費を40%減らすなどして、経費削減で事業存続に努めてきたと訴えている。

しかし、労働条件の切り下げは限界に達し、安全への投資が二の次となり、車両代替の延長は利用者サービスの低下を招いていると苦境に理解を求めている。
供給過剰を解消するため、貸切バス市場が正常化するまで、新規参入(大型車)の最低車両台数を5台から10台に引き上げるよう要望し、その根拠として、12事業者の実績に基づく試算を貼付した。

その試算によれば、運行管理者を24時間常駐させた場合、5台保有は経常収支が1003万2千円の赤字(経常収支率89・7%)に対して、10台保有は465万9千円の黒字(同102・7%)を確保できる。
少なくとも10台保有しないと安全で良質なサービスは提供できず、健全な経営も成り立たないことを裏付けたものだが、それでも人件費の基礎データは年収が社長690万円、運行管理者575万円、整備管理者460万円、運転者402万5千円での黒字である。

また、第5回会合では和田由貴夫委員(バスラマ・インターナショナル編集長)も意見書を提出し、「小規模ゆえに安全性が低いという仮説の証明は容易ではないだろう」としながらも、「(バス事業は)現場から経営者まで、つねに安全を最優先にした意識と覚悟があって初めて参入が許される事業である」「万一の事故の際に、十分な補償がなされることは当然であり、十分な資力や補償システムを備えなければならない」と資金・運営能力を重視した。

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