三菱ふそう バスの安全性能、一段と進化 衝突被害軽減ブレーキ「AMB」を全車標準装備

三菱ふそうトラック・バス(アルバート・キルヒマン社長)は、大型観光バス「エアロクィーン」と「エアロエース」のマイナーチェンジ(1月15日発売)に際して、いち早く衝突被害軽減ブレーキ(AMB/Active Mitigation Brake)を標準装備化。さらに車間距離警報装置や、雪道や滑りやすい路面での走行を安定させる「ASR(アンチスピンレギュレーター)」も全車に標準装備し、安全性能を大幅に向上させている。新型車の搭載された安全装備群から、大型バスの安全を考える。
ミリ波レーダーで車間距離を監視
昨年4月29日、群馬県藤岡市の関越自動車道上り線で乗客7人が死亡し、39人が負傷する大型バスの事故が発生。この事故を受けて国土交通省は、乗車定員10人以上・車両総重量12㌧を超えるバス(路線バスを除く)に、AMBの装着を義務付けることを決定した。AMBは普及課程のシステムだったが、痛ましい事故によって標準装備化が早まったといえる。新型車は2014年11月1日以降、継続生産車は17年9月1日以降に販売される車両から適用されることになっている。
そうした中、三菱ふそうは装着の義務化がまだ検討されている昨年12月の段階で、AMBの全車標準装備に踏み切った。

AMBのデモンストレーション。30km/hで走行してきたバスが障害物衝突時には停止に近い速度まで急減速した

同社のAMBは、ミリ波レーダーで前車との車間距離を監視し、衝突の恐れがあると判断した際に、自動でブレーキをかけ、衝突時の速度を抑える仕組み。前車との車間距離の保持を促す「ディスタンスウォーニング(車間距離警報装置)」や、雪道や滑りやすい路面においても走行を安定させる「ASR(アンチスピンレギュレーター)」を同時に標準装備することで、その効果を高めている。
同社のバスの安全技術は、高速バスが登場した時から継続して進化してきた。

フロントバンパーに車間距離警報と衝突被害軽減ブレーキ用ミリ波レーザーを内蔵

東名高速道路が開通した1969年〜70年代は、時速100㎞で長時間走り続けてもオーバーヒートせずに、まっすぐ走ることができ、しっかり止まることが安全という時代だったが、80年代は「エアロバス」と名付けられ、現在のバスの原型ともなっている「MS700型」が登場。前輪独立懸架やインテグラルパワーステアリング、ABS、ASRなどを導入し、ドライバーが楽に運転できるようにすることで、安全運転に貢献するという思想が盛り込まれた。
その後、90年代に入ると、車体の構造面の向上に力を入れるとともに衝撃吸収ステアリングやエアバッグ、ディタンスウォーニング(光学式)などを装備し、衝突安全性が向上した。
そして「エアロシリーズ」として3代目となる現行モデルは、ぶつからない、または衝突時の被害を減らす機能を満載。特に大型二種免許を保有する運転手の能力を活かすべく、ドライバーサポート機能を充実させている。
その最たるシステムが運転注意力モニター「MDAS(エムダス)―Ⅲ」だ。

MDAS-Ⅲの車線確認カメラ

これはドライバーに注意力低下を警報する運転支援システムで、白線認識カメラによる画像や、ハンドル修正量、ウインカー操作などの情報をもとに、ドライバーの注意力低下を検知。走行状況や運転特性を学習し、ドライバーが疲れていると判断した状態で蛇行運転した場合、白線をまたいだ側のスピーカーから警報を発するなど、必要に応じて注意を促す。ドライバーの癖を判断する学習機能によって、“わずらわしくない警報”が追求されている。
1996年から大型トラックに採用し、大型バスには2007年からオプション設定、10年から全車に標準装備されている。
次の段階で安全を確保するのが、「ディスタンスウォーニング」だ。走行中、ミリ波レーダーが前車との車間距離を測定し、あらかじめセットした距離より近づいた場合は、インパネの「Ivis(アイヴィス)」と名付けられた画面に警報を表示するとともに警報音を鳴らすシステム。車間距離レベルを6段階で表示し、接近し過ぎると2段階で警報を鳴らし、ドライバーに制動操作を促す。

インパネ中央にIvisを装備

また、「MDAS―Ⅲ」が注意力低下を判断すると、「ディスタンスウォーニング」で設定された距離より早めに警報を出すなど、2つのシステムが有機的に連動することで、三菱ふそうならではの高いレベルのアクティブセーフティーを実現している。
こうした運転支援機能をもってしても、衝突の危険に際して、ドライバーが制動または回避操作を行わなかった時に「AMB」が作動する。
つまり、「MDAS―Ⅲ」によるドライバーの注意力低下の監視、警告→「ディスタンスウォーニング」が「Ivis」の表示とブザーで警報→「AMB」が作動し、緩急の2段階で自動ブレーキをかける―という流れだ。
日本自動車研究所(JARI)によると、衝突速度が10㎞/h低下すると死亡率が半減、20㎞/h低下すると8割低減すると分析されており、高速道路での居眠り運転など最悪なケースを想定しても、3つの機能が連動することで、事故の減少と被害の軽減に大きな効果が見込まれる。

MDAS-Ⅲの運転注意力モニター表示

注意力低下警告表示

ディスタンスウォーニング

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