事故の特徴を踏まえ実効性ある対策 インタビュー 国土交通省自動車局安全政策課長 下野 元也氏(上)

昨年4月29日に関越自動車道で乗客7人が死亡、乗客・乗務員38人が重軽傷を負った高速ツアーバス事故を受けて、国土交通省は「高速ツアーバス等の過労運転防止検討会」(12年5月29日)、「自動車運送事業者に対する監査のあり方検討会」(同8月8日)などを設置し、安全対策を順次講じてきた。同省自動車局の下野元也安全政策課長に、事業用自動車の事故の特徴や事故防止対策の考え方などを聞いた。

〈事業用自動車の重大事故の発生状況と特徴〉

近年、事業用自動車の事故は件数、死亡者数とも減少傾向にありますが、いまだ多くの尊い命が交通事故によって犠牲になっています。
2012年に発生した事業用自動車の事故件数は4万5346件で、11年に比べ3740件(7・6%)減少しました。
バスに関しては2427件で178件(6・8%)減、タクシーは1万9380件で2237件(10・3%)減、トラックは2万3539件で1325件(5・3%)減と、すべての業態で減少しています。
12年の死亡事故件数は全体で443件あり、11年に比べ13件(3・0%)増加しました。バスは15件で3件減、タクシーは40件で12件減、トラックは388件で22件の増加でした。
事故の特徴としては、バス事故は車内事故の割合が高く、特に発進時における車内転倒事故が多く発生しています。車内事故の負傷者は65歳以上の高齢者が半数以上を占め、男性よりも女性のほうが圧倒的に多くなっています。
タクシーについては他車との事故が約8割を占め、そのうち出会い頭での衝突事故が最も多く発生しています。また、空車時における事故が実車時に比べ約3倍多く発生しています。
トラックは直進で走行中の事故が半数を占め、午前零時から6時までの深夜早朝にかけての事故が最も多い状況になっています。
このような特徴を踏まえ、今後とも実効性のある事故防止対策に取り組んでいきたいと考えています。

〈高速ツアーバス事故を受けた安全対策の具体化〉

昨年4月29日の高速ツアーバス事故発生後、夏の多客期に向けて緊急重点監査や乗務員の運転時間基準の強化など、10項目の緊急対策を実施しました。
緊急対策に加え、制度改正を伴うものについては実現までに一定の期間が要する課題ということで、有識者検討会などで検討してきました。
これまでに新高速乗合バスへの早期移行の促進、さらには昨年12月に夜間運行を行う貸切バス事業者に対する交替運転者の配置基準を制定し、施行してきました。
このほか、安全管理体制の強化、運行管理制度の強化、監査体制の強化と処分の厳格化、過労運転の防止対策など、いろいろな項目について年度末までに有識者検討会でとりまとめたところです。検討会の結論を踏まえて、4月以降、迅速かつ確実に省令や制度改正などを実施することにしています。

〈バスの対策強化のタクシーやトラックへの波及〉

「監査のあり方検討会」で検討していた監査の強化と処分の厳格化については、「監査方針及び処分等」の改正を行い、タクシーやトラックを含めて今年秋から施行する方向で準備をしています。
そのほかの運行管理制度の強化などについては、各モードの状況を踏まえつつ、必要に応じて検討したいと考えています。基本的には旅客自動車運送事業運輸規則(省令)の中で運行管理制度の強化を図っていくことにしていますので、バスとタクシーが対象になります。

〈国際海上コンテナ安全確保法案の取り扱い〉

国際海上コンテナの事故の発生状況はわれわれが把握している限りでは、06年から12年にかけて輸入コンテナ44件、輸出コンテナ19件の計63件発生しています。
特に国際海上コンテナの陸上輸送はいったん事故が起こりますと、甚大な影響を及ぼしやすく、また封印されたまま一貫輸送されるというコンテナの特性上、トラック事業者や運転者のみならず、荷主や取次事業者を含めた総合的な安全対策は必要不可欠だと認識しています。
このため、2回にわたって国際海上コンテナ安全確保法案を国会に提出しましたが、残念ながら成立しませんでした。この法案は安全かつ円滑な海上コンテナ輸送を確保するために重要な法案と考えていますので、今国会では提出を見合わせましたが、今後とも成立を期していきたいと考えています。
その一方で、国交省としてはこの法案の成立を待たずとも、安全対策については取り組んでいくことにしています。
具体的には、海上コンテナをめぐるソーラス条約などの国際的なルールの早期作成に向けた取り組みを引き続き強めるとともに、05年に策定した安全輸送ガイドラインの改正や、港湾における過積載や偏過重状態のコンテナを発見した場合に、それを是正する措置についても試行的に実施することにしています。

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