バス機器最前線<クラリオン>

ネットワーク型音声合成放送装置を核に発展

日本が高齢化社会に向かう中、高齢者の移動を確保すべく、路線バスを中心とした公共交通の充実が求められている。

政府のバス事業者に対する補助は十分とは言い難い状況だが、バス網の整備が国策であることは間違いない。実際に近年は、地方自治体の積極的な取り組みによって、コミュニティバスの運行が目に付くようになったと言える。

しかし、バスの利便性向上には鉄道とは異なる課題が存在する。それは路線の複雑さと運行スケジュールが道路状況に左右されてしまうという点だ。こうした課題を補うためにバス専用の車載機およびシステムが独自の進化を遂げてきた。
バス機器の最大手であるクラリオンに、現在の最先端機器と今後の方向性を解説してもらった。

路線バスシステムの核になるは「オートガイドシステム」と呼ばれる放送装置である。「次は○○です」という案内放送をする装置で、昔は8トラックのテープで運転手がスタート/ストップを行っていたが、現在は小型コンピューターで自動化されている。自動で案内放送するためには、路線、目的地が設定され、さらに現在地がわからなければならない。そこで現在のネットワーク型音声合成放送装置「CA-6000」には、系統別に停留所でどんな放送をするのかというデータベースが格納されている。

さらに車両前後の行き先表示や、次の停留所表示、整理券発行機、運賃表示機、料金箱などもデータ連動を行っている。運転手が出発前にタッチパネル式カラー液晶コントローラー「CK-3100」で系統を入力するだけで、停留所ごとに変わる設定がすべて準備される仕組みだ。音声案内装置は路線バスの案内システムを支える司令センターといえる。

また近年は、通信機能を持たせることで自車位置をセンターに知らせ、バスロケーションシステムにも活用されている。
バスロケーションシステムは、バスの位置だけがわかっても役には立たない。バスの系統や目的地、上り/下りの情報がリンクされていることが重要だ。同じ停留所に近づくバスがあっても、系統が異なれば利用者にとって価値のない情報となってしまう。路線バスのロケーションシステムはそれだけ複雑で、利用者に有用なサービスを提供するためには、ネットワーク型音声合成放送装置の持つ情報は欠かせない。

同時にセンター側にサーバーが必要となるが、導入コストが高く、中小規模のバス事業者が個別に持つことは難しい。そこでクラリオンが独自サーバーを持ち、複数のバス事業者が共同で活用するASPサービスも提供している。高性能のネットワーク端末とASPサービスを同時に手がけ、コストを下げることで、小規模のコミュニティバス事業者でも導入でき、利用者にとって役立つ仕組みを全国的に広げるべく取り組んでいる。

このほか、普及が加速しているのがドライブレコーダーだ。もともとドライブレコーダーは事故の記録を残すべく、衝撃に反応して動作するものであるが、バスの場合は利用者が車内で転ぶなどの“車内事故”の原因究明が重要な役割となっている。車内事故を減らす目的に加え、クレーム対策の意味合いも持つ。そのためバス用のドライブレコーダーは複数台のカメラをつなぎ、常時録画するという独自の進化を遂げている。

今後の本命と考えているのは、車内の映像システムだ。JR東日本の山手線などでは各ドアの上にモニターを設置し、CMと案内を表示しているが、これをバスの中にも設置できるよう商品を開発中だ。大型モニター2機を設置し、1機は次の停留所案内や料金表示に使用。もう1機は運転席の後方に設置し、CMや天気予報などのコンテンツを流そうと考えている。整理券番号に応じた料金表示器の代替え需要を狙い、導入を促進していきたい。

ただしCM効果を考えると、鉄道とは利用者数の桁が違う。鉄道広告と同様の効果測定は成り立たない。そこで、まず第1歩として、大手のバス会社および空港と組んで、空港往復のリムジンバスに設置する実証実験を今年中に行おうと考えている。空港リムジンバスは乗客が前方を向いて座り、所要時間も長い。前方に大型モニターがあり、動画が放映されていれば自然と目を引くのではないかという想定だ。しかもビジネスマンが多いことから、ターゲットも絞り込みやすい。ストーリー立てたCMを流して効果を検証したいと考えている。

バスの中のモニターが広告媒体として有益であることを実証し、次のビジネスを広げていきたい。
最後にクラリオンの強みであるナビゲーションシステムをバス用にカスタマイズして販売したいと考えている。
希にではあるが、路線バスでも道を間違える可能性はある。行き先が同じでも系統によってルートが異なり、普段とは異なる系統を担当した場合、うっかりミスが発生しないとはいえない。
こうしたミスをゼロに近づけるため、確実にルートを示してくれるシステムを検討中だ。多くの停留所を経由するルート設定は、現在のカーナビでは対応できない。低コストで導入できる製品開発は難航しているが、今後、オンデマンドバスが普及する可能性もあり、センターから経由地を変えられるようなバス用カーナビが求められていくと考えている。

音声合成放送装置「CA-6000」 タッチパネル式カラー液晶コントローラー「CK-3100」 マルチビジョンガイドシステム「CA-5100」 高速車用デジタル行き先表示器 4カメラ接続フラッシュメモリドライブレコーダー「CF-2500A-A」 CCDカメラ(正像モデル・前方用)「CC-2003B」

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