国土交通省は9月27日に開催された社会資本整備審議会道路分科会基本政策部会(石田東生部会長=筑波大教授)に、「バスタ新宿」をモデルケースとした「バスタプロジェクト」を提示し、バスの利便性向上にアプローチする道路施策を説明した。今年度からバスタ新宿での運行支援システムや高速バス&カーシェアの実験などを開始し、2018年度から本格展開する方針を明らかにした。
モーダルコネクト検討会での議論を具体化したもので、ETC2.0やセンシング技術を活用したバス情報基盤と、モード間の効率的な乗り継ぎ(モーダルコネクト)を前提に、「マルチモードバスタ」「ハイウェイバスタ」「地域の小さなバスタ」で構成する。
「マルチモードバスタ(集約交通ターミナルの戦略的整備)」のモデルケースとなったバスタ新宿は道路(国道20号)用地を利用して建設し、今年4月に開業した。新宿駅西口周辺に散らばっていた高速バスや空港連絡バスの停留所19カ所を集約し、JR新宿駅とも直結させた。118社が1日1625便を運行し、約4万人が利用する。
東京圏をはじめ都市圏には周辺にバス停が点在している鉄道駅が多く、鉄道駅と直結する集約型の公共交通ターミナルを整備する。駅と市街地ビルが道路で分断されている場合は、立体道路制度を活用して道路上空にターミナルを設置する道・駅・街を一体で整備する構想を描いている。
地方部では鉄道や新幹線の新駅設置を機に高速道路ネットワークと機動性の高いバスを組み合わせた駅直結交通ターミナルの整備や、「道の駅」を活用した乗り継ぎ利便性の向上も想定している。
「ハイウェイバスタ(SA・PAを活用したバス乗り換え拠点整備)」は九州道・高速基山バス停(佐賀県)を参考事例に、高速道路のJCT(ジャンクション)周辺のSA・PAに高速バスの乗り継ぎを可能とする拠点を整備する。
福岡から佐賀・長崎方面と大分方面の高速バスが合流する九州道・基山PAに乗り継ぎができる高速基山バス停を設置したところ、利便性が大きく向上し、同バス停での乗り継ぎ系統数は158系統に達している。
「地域の小さなバスタ(地域バス停のリノベーション)」は、高速バスストップの45%(362カ所)は利用されておらず、「道の駅」の71%(744カ所)にはバス停が設置されていない現状を改善し、バス機能の強化に乗り出す。
高速バスストップに上屋・ベンチ・バスロケシステム、エレベーターを設置したり、P&R(パーク・アンド・ライド)駐車場やカーシェアリング、路線バスとの接続を強化する。
「道の駅」を高速バス・路線バス・デマンドバスの乗り継ぎ拠点化し、バス停が地域振興施設から離れた位置に設置されている「道の駅」の駐車スペースの配置をバス利用優先に変更するなどのイメージを示している。
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