日本バス協会は2016年1月15日に発生した軽井沢スキーバス転落事故を受けて、2月19日に東京都内の駐車場3カ所で運行指示書の携帯確認などを中心に貸切バスに対する街頭指導を行った。
また、同事故を含め、今年に入ってバス事故が相次いで発生しているため、同10日に開催した安全輸送委員会で「安全輸送緊急決議」を採択し、業界を挙げて安全運行を徹底することを確認した。
都内駐車場で貸切バスの街頭指導
スキーバス事故を起こした運行会社のイーエスピーは国土交通省の特別監査で法令違反が多数確認され、ずさんな運行を続けていた実態が明らかになり、2月19日付で許可取り消し処分を受けた。
同社はバス協会の非会員事業者だったが、15人の死者を出す大惨事は貸切バス全体の信頼を著しく損ない、バス離れを招いた。
街頭指導は非会員事業者も対象に、
- 浅草周辺観光バス駐車場
- 台東区区民会館駐車場
- 清川駐車場
で、船戸裕司日バス協常務理事ら指導員が35社53台(うち非会員10社11台)をチェックし、「シートベルトを締めましょう」のチラシを配布した。
今後、浅草寺周辺、皇居外苑楠公駐車場、東名高速・海老名SAで実施することにしている。
街頭指導では、
- 「貸切」の車外表示
- 「社名」の車外表示
- 車内に「登録番号」の表示
- 車内に「運転者氏名」の表示
- 運行指示書の携帯
- 運行指示書に主な行程の記載
- 運行日報の携帯
- 運行日報の記載
- シートベルト着用の掲示
の9項目をチェックした。
日バス協「安全輸送緊急決議」
日本バス協会が2月10日の安全輸送委員会で採択した「安全輸送緊急決議」は次の通り。
先般、死者15人を出す誠に悲惨な軽井沢スキーバス事故が発生した。また、これ以外にも今年に入って重大事故につながりかねない事故が相次いで発生している。このため、われわれバス事業者は各自の営む事業を再点検し、安全・安心がすべてに優先するとの決意をもって、事業用自動車の運行の安全のため、業界を挙げて下記の事項に緊急に取り組む。
- 客席にシートベルトの装備があるバス車両の運行にあたっては、バス出発時に、サービスエリア等での休憩を含め、乗客へのシートベルト着用案内を徹底する。その際、運転者の見回りによる乗客のシートベルト着用状況のチェック、着用を促すための案内表示の明確化や映像案内等を推進する。
- 運転する車両や運行ルートに応じ、運転者の運転技量の確認や運転訓練を行うとともに、運転者の事故歴や適性診断の結果に基づいた効果的な個別指導を行う。また、高齢運転者に対しては夜間運行や宿泊を伴う運行は避けるなどの乗務基準を設け、安全運行に徹する。
- 貸切バスにおいては旅行業者との調整のもと、より安全な運行ルートを選定する。また、点呼において運行ルート中の危険個所や注意を要する事項等について、運転者に的確かつ具体的に指示を行う。
- 医師等と連携して、国土交通省が作成した「事業用自動車の運転者の健康管理マニュアル」を確実に執行する。また、睡眠時無呼吸症候群、脳疾患、心疾患等で医師により要治療と診断された運転者については、逐次治療の状況を把握するとともに、運行に支障がある場合には、これが解消するまでは乗務を見合わせることを徹底する。
- 運輸安全マネジメントを徹底するとともに、社内監査等により法令の順守を徹底する。
[name name=koumai]