日本バス協会(上杉雅彦会長)は2016年11月8日、東京・千代田区大手町のサンケイプラザで、第65回中央技術委員会全国大会を開催した。
冒頭の挨拶で、雲井敬中央技術委員長(三重県バス協会会長)は「バス業界は都市部では交通渋滞等でサービスが悪化し、地方では過疎化、少子高齢化の進行で、旅客が引き続き減少しており、依然として厳しい経営環境に置かれている。また、貸切バスも1月の軽井沢スキーバスの事故以降、利用者からの信頼回復が求められている」と指摘。「車両の整備・点検は安全輸送の基本」と強調し、「バスの安全運行は、運転者の教育、労務健康管理への対策も重要だが、厳しい採用状況の中で、車両側の安全対策や技術の進歩によって、運転者をサポートすることも重要となっている」と、今後の更なる技術の進歩や精度の高い製品技術に期待感を示した。
来賓として、国土交通省自動車局の島雅之次長は「6月にとりまとめられた『安全・安心な貸切バスの運行を実現するための総合的な対策』の項目を、今冬のスキーシーズンに間に合わせるよう、今国会で審議予定の道路運送法の改正を含め、スピード感を持って関係法令の改正を進めている」と報告するとともに、車両の先進安全技術の更なる普及を図ることを表明した。
日本自動車工業会の内藤正彦常務理事は、国内の自動車市場動向やクルマの魅力の発信、自動車関係諸税の抜本的な見直し、環太平洋経済連携協定(TPP)、COP21など自動車産業を取り巻く情勢を説明したあと、「多くの方々の命を預かるバスについては、最新の安全・環境技術を開発し、実用化に向けて努力していく。2020年の東京オリンピック・パラリンピックは、世界に技術をアピールする絶好の機会なので、自動車業界が一丸となって着実に対応していきたい」と表明した。
第49回発明考案功労者表彰では、銅賞2件、努力賞10件に上杉会長から表彰状が授与され、銅賞を代表して名古屋市交通局鳴尾営業所整備係の安藤学運輸技師が受賞作品について発表した。
第49回発明考案功労者表彰の銅賞受賞作品は次の2件。
「車高調整ソレノイドバルブ(ECASバルブ)テスト機の考案」(名古屋市交通局)
独立懸架式サスペンション脱着工具」(神奈川中央交通)
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