武藤自動車局長 バス安全・安心回復プラン 実効性ある対策実施 監査・処分 全モードで強化

 国土交通省の武藤浩自動車局長は、昨年4月29日に関越道で発生した高速ツアーバス事故を受けて発足した有識者検討会の報告書と、今年4月2日に発表した「高速・貸切バスの安全・安心回復プラン」に関連して、「制度を作っただけでは安全は守れない。地方運輸局も含めて、しっかり運用する。そうしないと国民の信頼は得られない」と述べ、「実効性のある対策を着実に実施する」と強調した。
 武藤局長は「安全対策にはきちんと取り組まないといけないとあらためて痛感している」と、安全確保を新年度の最重点課題に位置づけた。
「安全・安心回復プラン」については「フォローアップ・効果検証を含めて、2年間一生懸命やる。高速ツアーバスは7月末までに新高速乗合バスへ移行できるように、バス停留所の調整を進めている」と説明し、「(報告書の提言のうち)整ったものからパブリックコメントにかけ、しっかり施行する」との姿勢を明確にした。
悪質事業者に対する重点監査と処分の厳格化はバス・タクシー・トラックのすべてのモードに適用し、車両運行中は運行管理者を常駐させるなどの運行管理制度の強化は旅客自動車運送事業運輸規則(省令)の改正で措置するため、バスとタクシーも対象になると明言した。
消費税増税の運賃転嫁にふれ、転嫁や表示カルテルの独禁法適用除外などを定めた「消費税転嫁対策特別措置法案」が国会に提出され、「消費税円滑・適正転嫁対策推進本部」が5月をめどに基本的な考え方を公表すると全体の枠組みを示した。
乗合バスは日バス協の運賃委員会が事業者の要望をとりまとめ、事務手続きの簡素化の要望が出され、タクシーは全タク連が検討しているとし、「適切に対応する」と述べた。
トラックは「全ト協は特措法案に対しても『早期成立を希望する』との声明(3月22日)を出し、転嫁カルテルを行うことにしている。公定運賃ではないので、荷主との間でしっかり転嫁できるようにしたい」との意向を示し、「具体的な内容はこれからだが、国交省としても業界と連携して取り組む」と表明した。
トラック運送取引の書面取引に関しては「具体的な制度設計を行い、春から夏にかけて省令、運送約款、ガイドラインをまとめる。実効性を確保するため、荷主から書面(運送状)を出してもらい、事業者が確認書面を返すようにする。それに先立ち、事業者や荷主を対象としたセミナーを全国レベルで開く」と意欲をのぞかせた。

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