安倍晋三首相は2016年9月26日召集された臨時国会で所信表明演説し、「1億総活躍」や「地方創生」など山積する課題を挙げ、未来に向けて挑戦していく決意を明らかにした。
安倍首相はまずこの夏の台風災害はじめ熊本地震、東日本大震災などの復旧・復興への取り組みを述べた中で、外国人宿泊者数が昨年、震災前を上回った東北に関し「観光先進地・東北」を目指し、新たなチャレンジを支援したいとの意気込みを見せた。
「アベノミクスの加速」に関しては「経済の好循環の成否は、全国の中小・小規模事業者の皆さんの元気にかかっている。生産性向上、販路開拓などの努力を後押しし、下請取引の条件改善を進める」などと述べ、消費税について「税率10%への引き上げを30カ月延期する。平成31年10月の実施に向け、軽減税率導入へ準備を進める」などの意向を示した。
また「1億総活躍」関連では「経済対策のキーワードは『未来への投資』。1億総活躍の未来を見据え、子育て支援、介護の拡充を進める。介護離職ゼロを目指し、50万人分の介護の受け皿を前倒しで整備する。介護休業に積極的な事業者を新たな助成金で支援する」などと述べた。
「地方創生」では「過疎化、高齢化。地方が直面する困難は深刻だが、特色ある農林水産物、豊かな自然、伝統・文化それぞれの地方が持つ個性は、いまだ十分に生かされているとはいえない。ここに大きなチャンスがある。地方創生の未来に大胆に投資していく」。
また「観光立国」について触れ「外国人観光客が本年、2千万人を大きく上回り過去最高となる見込み。次は4千万人の高みを目指し大胆に投資する」と抱負を述べた。
その一方で「世界一安全な国創りも欠かせない」とし、軽井沢スキーバス事故の教訓を踏まえ、貸切バス事業への監査機能を抜本的に強化し、許可更新生制を導入する方針を打ち出した。
このほか「農業新時代」に向けての構造改革への取り組みや外交についての基本的な考え方などを述べた。
さらに象徴としてのお務めについての天皇陛下のお言葉について「御公務の在り方について、御年齢や御公務の負担の現状に鑑みる時、その御心労に思いを致し、有識者会議において国民的な理解の下に議論を深めていく考えであります」と述べた。
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