国土交通省が発表した2015年度「乗合バス事業の収支状況」(保有車両数30台以上の248社・局)によると、輸送人員は39億5千万人(前年度比1.2%増)と3年続けて増加し、伸び率は前年度よりも1.1ポイント拡大した。
大都市部(3大都市圏)は3年続けてプラスだったのに対して、その他地域(大都市部以外の地域)は2年続けて減少したものの、全体の経常収支率は97.0%と1.8ポイント改善し、軽油価格の下落が寄与した。
保有車両数30台以上の事業者の輸送人員は、12年度にその他地域がプラスに好転し、13年度は全国的に前年度を上回った。しかし、14年度からは大都市部は増加、その他地域は減少と分かれている。
運送収入は7210億円(1.3%増)と再びプラスに転じ、支出が7435億円(0.5%減)と抑制されたため、経常収支率は97.0%に上昇、赤字額は225億円に圧縮された。
実車走行キロ当たりの燃料油脂費が9.68円減の32.73円に下がり、軽油価格の下落効果が大きかった。
経営形態別では、民営バスの輸送人員は30億3千万人(1.2%増)と5年連続で増加し、運送収入は5684億円(1.5%増)と持ち直した。支出は5830億円(0.1%減)と2年続けて微減で推移し、経常収支率は1.5ポイント増の97.5%と3年ぶりに上昇した。
公営バスは輸送人員9億2千万人(1.1%増)、運送収入1526億円(0.7%増)、支出1605億円(2.1%減)となり、経常収支率は2.7ポイント増の95.1%と改善した。
地域別に見ると、大都市部は輸送人員26億3千万人(2.0%増)、運送収入4463億円(1.7%増)とともに3年続けて上向いた。経常収支率は103.2%と3年続けて100%を超え、黒字額は140億円と倍増した。
その他地域は輸送人員13億2千万人(0.4%減)、運送収入2747億円(0.6%増)、支出3111億円(1.0%減)。経常収支率は1.5ポイント増の88.3%と3年ぶりに上昇した。
黒字事業者は87社(民営83社、公営4社)、赤字事業者は161社(民営146社、公営15社)で、赤字事業者が65%を占めている。
ブロック別の経常収支率は、千葉109.9%、武蔵・相模104.1%、京浜105.6%、京阪神102.4%と100%を超えている地区がある大都市部に比べ、東北74.9%、羽越75.8%、山陰67.6%、四国71.2%、南九州79.0%など、地方部は苦戦が続いている。
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