展望 国内観光振興と訪日客拡大へ 観光庁が取り組み方針

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観光庁は2016年3月末に「国内観光の振興・国際観光の拡大に向けた高速バス・LCC等の利用促進協議会」での検討をもとに、高速バスとLCCの利用促進の取り組み方針をまとめた。

交通費用の割高感が移動を制約する要因のひとつとなっているため、比較的安価な交通手段を広く普及させたり、組み合わせることで国内観光を活性化するとともに、訪日外国人旅行者を地方に誘導したい考えだ。バス業界にとっても、高速バスの利用拡大と増収が期待できる。

「高速バス+LCC」利用促進 情報プラットフォーム構築

同協議会は高速バス関係6社と日本バス協会、LCC(低価格航空会社)5社、国際空港3会社、旅行関係2社がメンバーに入り、2015年12月15日に初会合がもたれた。
15年4月8日に成田空港のLCC専用ターミナル(第3旅客ターミナル)が供用を開始し、2016年4月4日に高速バス乗り場を集約した新宿南口交通ターミナル「バスタ新宿」がオープンした。17年3月には関西国際空港に新LCC専用ターミナルの開業が予定されている。
こうしたインフラ整備も踏まえて、取り組み方針は

  1. 高速バスと国内線LCCの情報プラットホームの構築
  2. 外国人観光客や国内旅客向けのイメージプロモーションの実施
  3. 高速バスフリーパスの組成
  4. 「道の駅」や高速道路SA・PAと高速バスの連携

などのメニューを掲げている。
外国語対応の高速バスの情報サイトは、

  • ウィラー・エクスプレスなど48社が参画する「JAPAN BUS LINE
  • 京王電鉄バスの「Highway―buses.jp」
  • 工房の「JAPAN BUS ONLINE」(発車オ~ライネット)
  • JRバスグループの「Exprssway Bus Net」

などが並立している。
外国人観光客には分かりにくいとの指摘があり、高速バスに関する情報プラットホームを維持・管理主体を整理した上で、主に外国人観光客向けに情報の入手から外国語での予約・決済まで可能な高速バスサイトへのリンク集を今年度早期に立ち上げる。
高速バスの外国人向けフリーパスはすでに導入されている

  • 昇龍道高速バスきっぷ(11社)
  • 高山・北陸エリア周遊きっぷ(JR西日本・JR東海・濃飛バス・北陸バス・加越能バス)

などを参考に、比較的事業者間の連携が容易な回廊型フリーパスの組成を推進するほか、LCCと高速バスの連携パス、複数モード間の企画乗車券なども検討する。
LCCと高速バスの連携では、NAA成田国際空港会社と高速バス会社は「Narita Air&Bus~成田空港から観光地へダイレクト」と銘打って、4月から

  • 新潟線(運行開始日4日)
  • 富山・金沢線(同)
  • 日光線(22日)

の3路線を運行する。新潟線と富山・金沢線は多くの国際線LCCが到着する時間帯に合わせて、夜行便で運行している。
[dfp]

高速バス向けFIT対策メニューを発表

高速バスマーケティング研究所(成定竜一代表)はこのほど、バス業界向けFIT(海外個人旅行)対策メニューを発表した。急増するインバウンドを高速バスや路線バスに取り込めるように、同研究所が監修役となり、異業種の6社が得意分野のノウハウや情報機器を提供する。
インバウンド対応は現在も貸切バスが中心だが、徐々にFITが増え、現実に外国人利用者が対前年度比で1.5倍に増えている高速バス会社もある。
高速バスを主なターゲットに、

  • 英語版ホームページの作成
  • 多言語運行情報提供サービス
  • 予約センター・乗務員向け通訳サービス
  • 英会話研修
  • 窓口・案内所向け通訳サービス
  • 多言語ガイドシステム

が得意の6社がバス会社のニーズに応じて最適なソリューションを提供する。
成定代表は、高速バスは「地方から大都市間市場」「高速ツアーバス登場による大都市間路線の拡大」を経て、「大都市・海外から全国津々浦々へ」の幕開けが始まったと位置づけ、「インバウンドの増加とFITの進展という幸運な時代がやってきた」と受け止めた。
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