展望 道路行政が新たな展開 「バスタプロジェクト」17年度の概算要求 道路局1.9兆円

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道路行政が新たな展開を見せている。「ネットワークを賢く使う」「高速道路を賢く使う」「モーダルコネクト(交通モード間の接続)」などをキーワードに、「バスタプロジェクト」や「効率的な物流ネットワークの強化」を打ち出している。

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道路局の17年度概算要求額(国費)は1兆9316億円と桁違いに大きく、この膨大な予算と人員の一部でも振り向ければ、公共交通や物流システムは急速に変貌を遂げ、利便性と生産性は飛躍的に向上するだろう。

「バスタプロジェクト」は

  • マルチモードバスタ(集約交通ターミナルの戦略的整備)
  • 「ハイウェイバスタ(SA・PAを活用したバス乗り換え拠点の整備)」
  • 地域の小さなバスタ(地域バス停のリノベーションの推進)

で構成する。
「マルチモードバスタ」のモデルとなったバスタ新宿は道路(国道20号=甲州街道)用地を利用して建設し、今年4月4日にオープンした。新宿駅西口周辺に散らばっていた高速バスや空港連絡バスの停留所19カ所を集約し、JR新宿駅とも直結させた。
駅周辺のバス停を集約するバスターミナル構想は

  • 東京駅八重洲口(24年3月竣工予定)
  • 仙台駅(19年度竣工予定)
  • 大阪駅みなみ広場(16年秋ごろ竣工予定)

などが計画されている。
しかし、東京圏をはじめ都市圏には周辺にバス停が点在している鉄道駅が多く、バスタ新宿のように鉄道駅と直結する集約型の公共交通ターミナルの整備を推進する。駅と市街地ビルが道路で分断されている場合は、立体道路制度を活用して道路上空にターミナルを設置する道・駅・街を一体で整備する構想も描いている。
地方部でも、のと鉄道・穴水駅と一体となった駅舎併設型の道の駅「あなみず」(石川県穴水町)で鉄道とバスのダイヤ調整などを行ったところ、穴水駅の乗車人員はオープン前の2.2倍に増えた。
「道の駅」を活用した乗り継ぎ利便性の向上のほか、鉄道や新幹線の新駅設置を機に高速道路ネットワークと機動性の高いバスを組み合わせた駅直結交通ターミナルの整備も視野に入れている。
「ハイウェイバスタ」のモデルとなったのは九州道・高速基山バス停(佐賀県)で、以前は福岡から佐賀・長崎方面と大分方面の高速バスはそれぞれ1方向しか運行しておらず、佐賀・長崎から大分方面に行くには西鉄天神バスターミナルで乗り継がなければならなかった。
そこで、九州道・基山PAに上り線と下り線をつなぐ通路を整備して乗り継ぎができる高速基山バス停を開設したところ、利便性が大きく向上し、同バス停での乗り継ぎ系統数は158系統に達している。これを参考事例に、高速道路のJCT(ジャンクション)周辺のSA・PAに高速バスの乗り継ぎを可能とする拠点を整備する。
「地域の小さなバスタ」は高速バスストップとP&R(パーク・アンド・ライド)駐車場・カーシェアリング・路線バスとの接続強化や、「道の駅」を高速バス・路線バス・デマンドバスの乗り継ぎ拠点にする構想を示している。

ハード・ソフト両面で施策 効率的物流ネット強化

一方、道路局の17年度概算要求は「効率的な物流ネットワークの強化」に2974億円を投入する。ハード面の整備が中心になるが、ソフト面の施策も展開する。
高速道路のICから10分以内で接続可能な空港は約4割、港湾は約2割にとどまっており、アクセス道路の改善により高速道路と空港・港湾などの物流拠点の接続性(物流モーダルコネクト)を強化する。
物流システムの効率化では、1台で通常の大型トラック2台分の輸送が可能な「ダブル連結トラック」の実験を11月から新東名を中心としたエリアで開始し、ドライバーが高速道路のSA・PAで上下線を乗り換える「中継輸送」の実験にも取り組む。
宅配便の再配達に年間約1.8億時間が費やされ、ドライバーの約1割にあたる9万人分に相当する労働力が消費されているため、「道の駅」に宅配ロッカーを設置し、再配達削減の実験もスタートさせる。

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