日本バス協会(上杉雅彦会長)は2016年9月16日、定例理事会を開き、軽井沢スキーバス事故対策委員会がまとめた「安全・安心な貸切バスの運行を実現するための総合的な対策」(6月3日)を受けて、国土交通省が具体化を進めている
- 貸切バス事業に対して巡回指導を行う民間指定機関の設立
- 中小貸切事業者の意見集約組織の設置
- 非会員の協会加入の促進
などへの対応方針を了承した。
冒頭、上杉会長は「適正化機関(民間指定機関)は国が責任を持って設立することを前提に、サポートしていく。スタートが肝心なので、各運輸局の状況を把握し、協会本部に連絡してほしい」と要請した。
未加盟事業者の協会加入については「悪質な事業者は絶対認めない」と言明し、「国の監査と処分で悪質事業者を排除し、適正化機関が監査をサポートするように分担すべき」との見解を述べた。
その一方、「安全確保に向けた努力がまだ足りない。会員事業者の3割しか安全性評価認定(セーフティバス)を取得していない。全事業者が取得し、安全とコンプライアンスの向上につなげてほしい」と提起した。
民間指定機関について、国交省はブロックごとに地方バス協会などが共同出資して17年度中に設立し、非会員に対する巡回指導を行い、非会員は負担金を納付するとの案を示している。
会員事業者も巡回対象とするが、適正化コンサルティング事業を実施している地方バス協会(現在23協会)には巡回指導を業務委託する。適正化コンサル事業を行わない場合は民間指定機関が協会会員に対しても巡回指導を行い、会員事業者からも負担金を徴収する。
この日の理事会では、民間指定機関は国が主体となって設立し、日バス協と地方バス協はできる範囲で協力するとの対処方針を確認するとともに、地方バス協会には適正化コンサル事業の早期着手を促した。
中小貸切事業者の意見を集約する組織は、現行の貸切委員会のもとに「中小貸切事業者専門部会」を置くことを了承した。部会委員は20人程度(ブロック単位で10台以下と11~30台の各1人)とし、今年度内に第1回会合を開く。
協会加入促進に関してはアンケートの結果、「各協会の独自判断にまかせてほしい」との回答が多かったことから、統一的な取り扱いは定めないが、▽協会幹部が直接面談してコンプライアンス意識を確認している▽一定期間の行政処分や重大事故がないこと▽協会職員が営業所に立ち入り、法令違反がないか審査しているなどの事例を示した。
国交省は今月26日に開会する臨時国会に、
- 貸切バス事業許可に更新制導入(5年間)
- 事業再参入と運行管理者の欠格期間の強化(現行2年を5年に延長)
- 民間指定機関への負担金徴収制度の創設
を主な内容とする道路運送法改正案の10月中旬提出を予定している。
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