安全・安心で信頼回復「政策要望」「安全輸送」を決議 全国バス事業者大会

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日本バス協会(上杉雅彦会長)は2016年11月16日、岩手県花巻市の千秋閣で第61回全国バス事業者大会を開催し、約400人が参加した。

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大会ではバス関係予算の確保や安全性の高い新車導入促進の税制特例措置、悪質事業者の退出などを政府に求める「政策要望決議」と、軽井沢スキーバス事故を受けて安全・安心がすべてに優先することを改めて誓った「輸送安全決議」を採択した。
冒頭、上杉会長は乗合バスについて「輸送人員は3年連続増加したが、大都市圏と地方との格差が広がっている。地方の経営は厳しく、大半は補助金に依存せざるを得ない。政府与党に予算と税制を強く要望している」と報告した。
貸切バスは3期連続で収支率が向上しているとし、「安全コストを組み込んだ新運賃・料金制度の効果が表れている。インバウンドは20年に4千万人を目指しており、明るい兆しが出てきた」と受け止める一方、「稼働率が落ち、下限運賃割れが散見され、旅行業者と異なるランドオペレーターが問題になっている」と課題を挙げた。
安全の確保を力説した上で、「運賃・料金をしっかりと取り、全産業に比べて低い賃金を改善し、車両の代替を進めてほしい」と述べ、「協会の会員は信頼が高いとの実績をつくり、仕事を増やしてほしい」と要請した。
スキーバス事故を踏まえて、「事故対策検討委員会の結論がまとまり、臨時国会で道路運送法改正案が間もなく成立する。信頼を1日も早く取り戻す」と表明し、「やるべきことが明確化され、一歩一歩やっていくしかない。適正化機関は負担がかかるが、運輸局と連携を密にして対応してほしい」と呼びかけた。
自動運転に言及し、「レベル4が実現すれば、自動運転に変わる。公共性の高いバス事業に適用されるのか、バス事業は成立するのか、不安を持っている。近い将来、この問題に直面する。新たなビジネスモデルとして捉えるのか、ぜひ考えてほしい」と問題を提起した。
来賓として、国土交通省の堀家久靖自動車局審議官が挨拶し、スキーバス事故の再発防止対策と乗合バスの維持・活性化施策を説明したあと、「アルコール検知器のすり抜け、運転中のスマホ操作など、不祥事が後を絶たない。運転のプロを自覚し、安全を徹底してほしい」と警鐘を鳴らした。
続いて、達増拓也岩手県知事が祝辞を述べ、上田東一花巻市長のメッセージが読み上げられた。
大会では、増田寛也野村総合研究所顧問が「地方創生と少子化対策」、原田修吾観光庁参事官が「観光先進国を目指して」と題して講演した。

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