東京バス協会は2017年2月10日、記者会見を行い、島倉秀市会長(京王電鉄バス会長)は「昨年は軽井沢スキーバス事故への対応に明け暮れした1年だった。昨年12月には改正道路運送法が成立し、安全規制が強化された。許可更新制、適正化事業が導入され、事業者の負担は重くなるが、安全運行に全力で取り組む」と所信を述べた。
島倉会長は関越道・高速ツアーバス事故(12年4月)、軽井沢スキーバス事故(16年1月)とも非会員が引き起こしたとし、「行き過ぎた規制緩和、あるいは安全を担保しない規制緩和で悪質な事業者が増えたことが遠因」との見方を示した。
ただ、「業界として悲惨な事故を二度と起こしてはならない。(国土交通省の)『安全・安心な貸切バスの運行を実現するための総合的な対策』を実効あるものにし、適正化機関による不適切事業者の排除を国に強く要望していく」と強調した。
ドライバー確保対策、東京オリンピック・パラリンピックの選手・観客輸送などの課題を挙げたあと、「バスは通勤・通学や買い物、観光客の移動を担っている。ドライバー不足や安全投資と厳しい状況にあるが、今年も安全を最優先に快適なサービスを提供していく」と決意を新たにした。
山口哲生路線部会長(東急バス社長)は都内の乗合バスの輸送人員は04年度を底に持ち直しているとの認識を述べた。ノンステップバスなどのバリアフリー車両の導入率が99.7%に達し、ドライブレコーダーは99.3%(貸切バス77.2%)、デジタルタコグラフは76.7%(同46.3%)に装着されたと説明した。
特に、軽井沢スキーバス事故を受けて、15年度末の貸切バスのドラレコ装着率が前年度に比べ26.2ポイントも上昇したと指摘した。
青木正勝貸切部会長(ワールド自興社長)は貸切バスの協会員が87社に対して、非会員はその3.4倍の299社にのぼる実態を紹介。14年3月に告示された新運賃・料金により収入は増収に転じていると受け止め、その半面で実働率は低下しているとしながらも、「安全と優秀な人材確保は絶対必要。安全投資を進め、ベースアップに努めていく」と言明した。
貸切バス安全性向上コンサルティングは今月7日までに25社に対して実施し、今年度は30社を超えると見通した。
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