高速ツアーバス大手のウィラー・エクスプレスは、近畿運輸局から同社初の高速乗合バス事業許可を受け、12月22日から「大阪梅田・京都駅~大阪南港」間で運行を始めた。
運行開始日となる当日は、大阪南港に午前8時20分に着岸した名門大洋フェリーの乗船客を対象にフェリーターミナルで高速乗合バスをアピールしたほか午前10時から開業式を開催した。
同社はこれまでも、高速ツアーバスとフェリー、鉄道など各種交通モードとの連携を図り、「人の移動」を創造してきた。今回は、高速乗合バス事業として大阪梅田・京都駅と大阪南港を結び、高速バスとフェリーの連携で、初めてフェリーを利用する乗客にも安心感と利便性を提供する。
大阪南港にはフェリーターミナルが3カ所あり、年間150万人が利用しているが、都心から離れて交通手段も限られている。同社は九州、四国など5つの航路の出航、到着時刻に合わせて運行ダイヤを設定。大阪南港から大阪梅田までは約30分、インターネット予約で片道500円。京都駅までは約1時間50分を見込み、片道1千円。3月31日まではネット予約で100円を割り引く。ネットでは高速バスとフェリーをまとめて予約、決済できる。
開業式で村瀬茂高社長は、「梅田、京都から宮崎、鹿児島など直結できるサービスを、旅情を含めてネットで提供する」として、今後認知度の向上を図るほか南港の活性化、フェリーの利用拡大に寄与することを期待した。また当面の高速バス乗車率については「(40人乗りの)50%が目標だが、最終的には90%に近づけたい」と語った。今後の同社の事業展開については「今までにないところに(移動手段を)作って移動の価値を提供する。今回はバス・フェリーだが、今後はバス・フェリー・バスもありえる」と述べて移動先で地元バスとの連携も示唆した。
同社は、現在検討が進められている「新高速バス」への移行も視野に入れており、今回の高速乗合バス許可は、今後高速ツアーバス事業者が新高速バスに移行する際の先べんともなりそうだ。
同社の高速乗合バス第1号便は、この日午前9時に出発。事前のネット予約のほか当日客も含めて26人が乗車。同社関係者が記念品を手渡し、手を振って見送った。