話題の新製品「バスNAVITIME」ナビタイムジャパン大西啓介社長に聞く

ナビタイムジャパンは、アンドロイド端末向けに、バスでの移動に便利なアプリケーション「バスNAVITIME」の提供を開始した。
全国をカバーしたバス専用ナビゲーションとしてロケーション情報(バスロケ)までを提供する仕組みは初めてで、提供開始から1週間で8千ダウンロードを記録。バス利用者の期待の大きさを伺わせる、好調なスタートを切っている。これまでバスは“生活者の足”という役割を担いながらも、情報提供面で立ち後れが問題視されてきた。利用者促進を目的としたバスロケも、携帯電話から路線・系統・行き先を指定しなければならず、利便性の面で不評だった。こうした中で登場した「バスNAVITIME」は、バス業界の救世主との期待も大きい。そこでナビタイムジャパンの大西啓介社長に、開発の経緯やサービス開始後の反響、そして今後の方針などを聞いた。

開発のきっかけや狙いは

バスは非常に便利な交通手段であるにもかかわらず、鉄道路線図のようなものがないので、どこで乗ってどこで乗り換えればよいのかが直感的に分からず、利用者が増えていない。また、渋滞などの影響が大きく、時刻表通りに運行されているかという不安もある。目の前をバスが走っているのに上手に利用できない方が多いと感じていた。そこでバス専用のアプリを開発し、これらの問題が解消できれば、もっと利用者が増えると考えた。
特にバス停が(バス事業者別、系統別に)分散していて、どのバス停から乗れば目的地に向かうのかが分かりにくい。そこでスマートフォンのGPS機能を利用し、現在位置付近のバス停を表示し、どのバス停から出るバスが自分をどこまで連れて行ってくれるのかを簡単に分かるようにした。

あえてバスに特化したアプリが必要だったのか

ナビタイムのトータルナビゲーションは、あらゆる交通手段の中で目的地に最短時間で到着できるルートを示すことを基本としている。バスも選択肢に含まれているが、所要時間で計算するとバスは第4候補までに入りにくい。しかし、バスを利用すれば5分くらい余計に時間がかかったとしても、乗り換えなしで、より目的地近くまで行けるケースがある。
トータルナビにバス情報を入れたのは2006年の都営バスが最初だった。都バスはそれまで右肩下がりで利用者が減っていたが、07年を境にV字で増加に転じた。それはナビタイムだけの成果とは言えないだろうが、少なからず貢献したと認められ、国土交通省からも地方のバス会社にデータを提供するよう働きかけがあった。われわれも各バス会社を訪問して協力を要請してきた。今回のアプリ開発にもつながっている。

開発で苦労した点は

バス停の正確な位置が電話確認やインターネット調査では分からないものも多く、現地調査で確認して歩いた。それだけコストがかかっているので、他社のサービスとの差別化になっていると思う

バスロケの統合は難しいのではないか

われわれはユーザーの方の快適な移動を支援するサービスなので、バスが利用しやすくなる情報を盛り込んでいきたい。バス会社としても利用者の増加につながるので、お互いの方向性は一致している。
バス会社の持つロケーションデータの形式がそれぞれ異なっているので、統合するためには変換するソフトの開発が必要だが、技術的にはそれほど高い壁ではないと考えている。

バスロケ自体の普及も進んでいないが

地方のバス会社は経営が厳しく、大規模なバスロケの導入は難しいと聞いているので、バスにスマートフォンを置くだけのような簡易システムを開発・提供して、導入と情報収集を図っていきたい。バスはどうしても「本当に来るのか」「直前に通過してしまったのではないか」といった不安がつきまとうので、確実に近づいていることが分かるだけで利用者は増えるはずだ。

リリース後の反響は

これまでバス専用のナビゲーションがなかったことで、「こうしたアプリが欲しかった」「のりば案内が便利」「バス会社をもっと増やしてほしい」などの声をいただいている。ツイッターでの反響も大きく、バスを利用したいと考えながらも、利用しにくかったのだとあらためて実感した。
今後は全国のバス会社を網羅すべく、粛々と情報の充実を図り、来期は15万人の利用を目標にしている。

「バスNAVITIME」画面は当サイト「ナビタイムがバス情報アプリ開発」の記事をご覧ください。

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