バス火災事故 不十分な点検整備や整備作業ミスが多い
国土交通省はこのほど、2007~10年の4年間に発生したバス火災事故61件の分析と対策をまとめた。
火災発生原因は「点検整備不十分」や「整備作業ミス」などの基本的な点検整備が関係している事故が25件と割合が高く、同省は日本バス協会や日本自動車整備振興会連合会など関係団体に適切・確実な点検整備を要請した。
自動車事故報告規則(省令)によるバス火災事故は▽07年18件▽08年10件▽09年16件▽10年17件とかなりの頻度で発生している。
業態別の1万台当たりの火災事故発生件数はバス1.67件、ハイヤー・タクシー0.23件、トラック0.98件で、バスの発生割合は際立っている。用途別では乗合バスが23件に対して、貸切バスは38件と多発している。
発生原因(一次的原因)が明確な火災事故のうち、点検整備の不十分が15件、整備作業ミスが10件と多く、具体的には交換したバッテリーやコネクターの固定不良、経年劣化による配線の腐食といった電気関係の不具合など、適切に点検整備を実施していれば防げた事故もあった。
出火に至った原因はショートなど電気関係が16件、ブレーキ・タイヤの過熱が9件、エンジンオイル漏れ7件の順だった。電気関係の不具合による火災事故は車齢に関係なく発生していたが、ブレーキ・タイヤの過熱は車齢(バスの平均10.8年)が高い車両で見られた。
原因が点検整備の不十分や整備作業ミスによる火災事故が多いため、「バッテリー固定金具やバッテリー端子取り付け用ナットは工具を使ってしっかり締め付けて固定する」「電気配線に損傷がないか、クランプに緩みがないか点検する」と注意喚起している。
長期間の整備未実施によるブレーキ部品の作動不良から火災事故に至る割合も高く、定期点検整備の確実な実施を改めて強調している。