社整審 国幹道部会 全ト協、日バス協、首都高ヒアリング 割引制度継続・拡充を

国土交通省の社会資本整備審議会国土幹線道路部会(部会長=寺島実郎日本総合研究所理事長)の第3回会合が開かれ、全日本トラック協会、日本バス協会、首都高速道路会社からヒアリングを行った。

全ト協と日バス協は

  1. 高速道路の利便増進事業による割引制度の継続・拡充
  2. 受益者負担原則の維持
  3. ネクスコ3社と首都高速・阪神高速を通算した利用料金の算出

などを主張した。

冒頭、赤沢亮生政務官は「国民はインフラの不安を感じている。中央道の笹子トンネルの天井板崩落事故が起き、首都高の大規模更新調査研究委員会から提言が出された。安全・安心、国土強靭(じん)化に取り組む」と述べ、「老朽化対策、ネットワーク整備、高速料金をしっかり議論してほしい」と要請した。

全ト協の星野良三会長は「トラックは生活と産業を支え、物流の基幹的な担い手として日夜努力している。東日本大震災では1万2千台のトラックが被災地に緊急物資を運んだ。料金問題は25年度末で割引財源が切れ、憂慮している。高速道路は輸送時間の短縮、事故削減につながり、最大限利用していく」との基本的な立場を表明した。

福本秀爾理事長は「基本料金の終日半額化と大口多頻度割引を拡充し、現行の実質割引率50%を70%に拡大してほしい」と要望し、割引率70%によるCO2削減、事故減少、燃料節減などにより経済効果は年間8900億円と試算した。

受益者負担の原則を維持し、「高速道路の維持・管理の費用は高速道路を恒久的に有料化し、利用料金で負担するべきだ」と主張。13年度税制改正大綱を引いて「自動車重量税を道路の維持・管理だけでなく、料金割引の財源として活用」「高速道路の用地を国に移管し、債務削減分を料金割引の原資に充当」を提言し、トラック業界挙げて「高速道路利用促進キャンペーン」を展開すると言明した。

小田征一日バス協高速バス委員長は「大口ユーザーと納税者の立場から発言したい」と前置きし、「高速道路の整備がまだ完全ではなく、高度経済成長期に建設されたインフラが補修の時期を迎え、道路特定財源の一般財源化には反対した」と歴史的な経過をなぞった。

地域から高速バス路線開設の要望が出ていると紹介し、「選択肢のある交通は国土強靭化に資する。大震災時には高速バスを出動させ、東北新幹線が再開するまで30万人以上を輸送した。いざという時にはバスと鉄道の2本で生活を守れる」と具体例を示した。

川杉範秋同副委員長(京王電鉄バス社長)は中央道・笹子トンネル崩落事故の影響について、12月2日の事故発生から29日まで対面交通開通までに高速バス10路線で利用客は43%減、12月29日~今月22日は20%減との数字を示し、「トンネルへの不安が強い。安全宣言を期待している」と訴えた。

菅原秀夫首都高社長は老朽化の現状と大規模更新調査研究委員会の提言を説明し、大規模修繕・更新の費用は償還計画に含まれていないとして、安定的な財源確保を求めた。

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