高速バス大手のウィラーエクスプレスジャパンと富士通交通・道路データサービス(FTRD)は、2016年10月から11月にかけてFTRDが提供する道路管理者向けの「道路パトロール支援サービス」を試用し、高速バスでバス路線の路面評価検証を行った。同支援サービスは、バス車両に搭載したスマートフォンの内蔵加速度センサーで自動的に道路の凹凸や段差の走行データを収集して路面状態を診断するもの。
ウィラーは、毎日運行する高速バスで走行データを収集し、利用者の乗り心地に影響する走行データを見える化した結果を乗務員の運転技術向上や利用者の安心・安全性の向上に活用する考え。
ウィラーの高速バス「ウィラーエクスプレス」は、全国で毎日20路線230便を運行しており、年間利用者は約273万人(2015年)に上る。これまで利用者に快適な運行サービスを提供するため乗務員への安全教育をはじめ、利用者が快適に過ごせる座席シートの充実を図ってきた。
FTRDは、2013年6月から、スマホを利用した道路の舗装点検・パトロールを支援するクラウドサービス「道路パトロール支援サービス」を道路管理者向けに提供。千葉県柏市をはじめ10以上の自治体で活用され、便に路面状態を把握できるサービスとして評価を受けている。
今回、高速バスサービスの品質向上を目指し、利用者の乗り心地に影響する道路の凸凹や段差がある地点の情報を共有することで、乗務員の運転技術の向上と、利用者の安心・安全性の向上へ向けて連携を始めた。
今回の検証では、期間中に同一車両・同一路線で計4回の走行データを収集、同支援サービスの地図データ上に登録した走行路線に対して100m単位の評価区間を設け、振動レベルを5段階に分けて各回の路面評価結果を比較した。走行車線の違いなどにより評価結果に大きな差異が発生した区間は、全体約4千区間中で100区間程度であり、9割以上の区間で同等の路面評価ができていることを確認した。
これにより乗務経験年数に関係なく各路線の走行注意地点を把握することが可能となることから、ウィラーでは運行サービスの品質向上に有効であることを確認した。
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