東急バスは、創立20周年を記念して、東急自動車部時代の戦後復興期から現在にかけて運行されている一般路線バス、観光バス、都市間高速バスの計5種類の塗装を復刻。このほど、5種類の復刻車両が一堂に会し、報道陣向けの撮影会が開催された。
一般路線バス初代カラー(青葉台営業所1130号車)
戦後の東急バス(当時:東京急行電鉄㈱)の標準色は、銀色に赤帯、フェンダーを黒色とし、側面には大きな「T.K.K」のロゴを表示していた。
1950(昭和25)年頃から、側面は車体裾部に水色を波型に塗装し、赤帯の上下に黄色の細線を加え、前面は中央で赤帯を下方に落とし込み、裾部の水色の立ち上げ部と接するデザインとなり、カラフルな様相となった。その後、1956年頃には裾部の水色の波型を直線的な鋸刃状に改め、1969年頃まで使用された。
しかし、時代と共にバス事業を取り巻く状況か厳しくなり、1968年10月から裾部水色と黄色を廃止する「塗装工程の合理化」を図り、現行一般路線バスの原形となる塗装スタイルとなっている。
観光バス初代カラー(下馬営業所1126号車)
1953(昭和28)年、貸切バス事業開始に際して、アイボリーにライトグりーンの落ち着いた色調の塗色が採用された。側面は東急の頭文字である「T」を大きく図案化したアクセントが入つているのか特徴。また、前面の明かり取りや側面上部には「東急観光」の文字が入つており、1960年代以降は「東京急行」に変更された。
観光バス第2代カラー(東山田営業所1179号車)
観光バス事業開始後14年が経過し、その間車両技術の向上により、工アサスペンションの採用による乗り心地の向上、冷房装置の採用等、急速にグレードアップしていった。そのような中、1967(昭和42)年に採用されたのが金色を中心に赤帯を付け、窓周り、屋根、側面下部をホワイトグレーとしたこの塗色で、当初「ゴールデン・デラックス・バス」と呼ばれた。当初は冷房・リクライニングシート付きのデラックス・バス専用の塗色という位置づけだったが、その後観光バス全車がこの塗色となった。
尚、この塗色は1992(平成4)年まで使用され、一部は深夜急行バスに転用され、1994(平成6)年頃まで使用された。
観光バス現行カラー(虹ヶ丘営業所1153号車)
1985(昭和60)年、本格的なサロンバス「S.S.Mercury109(マーキユリーいちまるきゆう)」「S.S.Saloon109(サルーンいちまるきゅう)」の導入にあたり採用されたのか、アイボリーを中心に、青・赤・橙のラインを施したこの塗色。当初Mercuryシリーズだけに使用されていたが,1992(平成4)年までに全車がこの塗色に統―された。
その後、観光バスの事業環境が厳しくなり、2003(平成15)年2月、子会社の㈱東急トランセに事業譲渡した。ただし、Mercuryカラーは現在も引き継がれ、5台体制で活躍している。
都市間高速バスカラー(新羽営業所3175号車)
1988(昭和63)年,都市間高速バス「MILKY WAY(ミルキーウェイ)」の運行開始に際して採用された塗色で、夜間高速にふさわしい青色を基調とした。
都市間高速バスは、和歌山・出雲・酒田・姫路線と4路線を運行していたが、当時の長引く不況の影響から移動需要の減少を招き、総合的な判断のうえ、1998(平成10)年にまでに全路線撤退した。
しかし、入れ替わる形で運行開始しだ空港りムジンバスの車両は,この青系を赤系とし、糸田部は一部変更しているものの、デザインベースは継承されている。