抱負
ダイムラーグループにおける三菱ふそうバス製造の位置付けに言及し、「ダイムラー・トラックアジア部門のバス事業をリードしていきたい。三菱ふそうはダイムラーグループの一員として、シナジー効果で相互補完をしている」とした上で、具体例として「連節バスは日本で生産していないので、海外から輸入している。一方、ダイムラーでは『ローザ』のような車両総重量7㌧クラスの小型バスをラインアップしておらず、グローバル市場で唯一販売できる商品であり、われわれの強みとなっている」と強調した。
「ローザ4WD」について、「開発の優先順位から、やむを得ずあきらめざるを得なかった。しかし、お客さまからの強い要望を踏まえ、4年ぶりに復活させることにした」と述べた。年間販売台数は150台程度を見込んでいる。
バス実績と見込み
なお、三菱ふそうトラック・バス開発本部バス開発部の横山賢司マネージャーによると、「ローザ4WDはオンロード4WDとして位置づけており、降雪地域や凍結路を想定している。北海道、東北、北陸地方の自治体や福祉施設、スキー場、乗合バス事業者からの要望が強い」と説明した。
三菱ふそうバス製造の冨田恵一取締役バス工作部長によると、国内の大型バス総需要は、前年比10.8%増の3469台に対し、同社の生産台数は4.2%減の1146台だった。15年は前年比2割強を見込んでいる。中型バスの総需要は前年とほぼ同数の993台に対し、生産台数は11.2%減の73台だった。15年は前年比1割強を見込んでいる。
小型バスの総需要は4.2%増の5626台に対し、生産台数は国内向けが14.4%増の1015台、輸出向けが20.6%増の5018台と、いずれも大幅に伸びている。15年は国内と輸出合わせて前年比5%増を見込んでいる。
メーカー別のシェアは、日野が32.8%、三菱ふそうが25.0%、トヨタが19.0%、いすゞが17.1%、日産が6.2%となっている。15年も同じシェアになると見込んでいる。
このうち、大型バスは日野が34.5%、三菱ふそうが34.3%、いすゞが31.2%。中型バスはいすゞが47.1%、日野が45.4%、三菱が7.5%。小型バスはトヨタが37.1%、日野が28.9%、三菱ふそうが21.5%、日産が12.1%となっている。
なお、工場の特徴として、降雪地域に立地していることから、ダイムラーの工場と同様、13年から屋内に直接トラックを乗り入れて部品の積み下ろしを実施していることを挙げた。
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生産状況
最近の生産状況について、菅野社長は「外国人観光客の増加によって大型観光バスの需要が増え、受注から納車まで10カ月かかっている。バスの生産総数は決まっており、大型は順調だと小型は落ち込み、小型が落ち込むと大型が落ち込むのだが、今年は大型、中型、小型とすべての車種で需要が高まっているため対応に苦慮している」と報告。
また、受注増の対応策として、「いち早くお客さまにお届けするため、15年も20%増としているが、16年はさらに20%以上の増産を目指し、生産設備の改良や人員の増強、工場稼働時間の延長などに取り組んでいる。ボトルネックとなっていた塗装ラインを、大中型バスと小型バスに分離したことにより、大型バスの増産が可能となった。これにより、大中型バスの年間生産能力の1700台を上回る生産ができる見込み」とした。