貸切バスの適正化対策について議論
国土交通省の第10回「バス事業のあり方検討会」(座長=竹内健蔵東京女子大教授)が開かれ、貸切バスの適正化対策について議論した。また、第11回で高速ツアーバスの新高速乗合バスへの移行、第12回で報告書骨子案、第13回で報告書案を審議し、今年度内に報告書を取りまとめるスケジュールを決めた。
この日は事務局から、
- 法令順守・安全対策
- 事後チェックの強化
- 発注者との相互理解の促進
- 営業規制の見直しの方向性
を提示した。
法令順守・安全確保では参入時の最低車両台数をテーマに取り上げる前に、新規参入時の法令試験、運行管理者制度や整備管理者制度の強化などについて議論することになった。
事後チェックに関しては「監査体制や行政処分を強化すべき」との意見が出され、事務局が例示したトラックの貨物自動車運送適正化事業実施機関に対しては「財源が課題」との指摘があった。
発注者(旅行業者、自治体など)向けに貸切バス利用ガイドラインの作成を提案し、委員から「利用者の視点から分かりやすい要約版も作ったらどうか」「運賃だけでなく、トータルで選んでもらえるように、国は貸切バス事業者安全性評価認定制度の普及を強力にバックアップしてほしい」との要請が出された。
さらに、「旅行業界とバス業界の協議会を設けたらどうか」との提案は「早く作って議論してほしい」と前向きに受け止められた。
営業規制の見直しのうち、バス業界の委員から「運賃が乱れ、適正収受ができていない。運賃をどうするかを検討してほしい」との要望が出されたのに対して、別の委員からは「(下限運賃が)高いと受注できず、収入が減る。低いと意味がない」「運賃収入が増えても、それが安全対策に使われるとは限らず、運賃と安全の関係は相対的に薄い。安全規制を強化したほうが効果的」などの異論が挙がった。
運賃制度の規制強化がマーケットとの関係で機能するかどうかが問われるため、実務者レベルのワーキンググループ(WG)の設置が了承された。WGの検討の視点や項目は次回以降の検討会で整理する。