「創意工夫で盛り返す」東京バス協会見で小田会長会見

東京バス協会は3日記者会見を行った。

東京バス協会の小田征一会長は「最近、バス交通の重要性が叫ばれ、交通基本法が制定されようとしている。環境問題への対応でも利用促進が図られている。これから施策や創意工夫で盛り返していきたい」と所信を述べた。

会見には長山昭一郎(東急バス社長)、金子正一郎副会長(はとバス社長)の両副会長、島倉秀市路線部会長(京王電鉄バス社長)、宮本克彦部貸切会長(東都観光バス社長)、村上伸夫理事長らが臨んだ。

小田会長は「バス業界にかかわって40年以上になるが、昭和42~43年のピーク時には利用者は100億人を超えていた。現在は半分以下に減り、東京など大都市部では実感は薄いものの、近郊や地方はとんでもない事態になっている」と述懐した。

現状も「人口が減少し、バスは斜陽の道を歩んでいるのではないかと心配している」と率直な心境を披露しながらも、「新しいバス業界をつくるために頑張っていきたい」と前向きに構えた。

委員を務める国土交通省の「バス事業のあり方検討会」の進捗状況に関しての質問に、小田会長は「高速乗合バスと高速ツアーバスを法律上一本化し、新高速バス事業にまとめられる」と説明した。

高速ツアーバスは許可申請を提出して新高速バスに移行することになるが、移行しない事業者への対応が最大のポイントとの見解を示し、「(バス業界は)法律違反で取り締まってほしいと主張しているのに対し、国交省は誘導し指導するとの立場だ。新高速バスへの移行期間が過ぎたら、脱法行為で取り締まってほしい」と望んだ。

島倉路線部会長は東京都内の乗合バスの現状について、「輸送人員は平成17年度以降は下げ止まり、21年度はマイナスに転じたが、22年度は0.6%増と持ち直した。23年度は東日本大震災の影響で大幅に減少するだろう。特に23年度上半期は高速バスと空港連絡バスが大きく落ち込んでいる」と見通した。

そのうえで、「公共交通機関として環境問題への対応やバリアフリーに取り組む」と強調した。

宮本貸切部会長は「震災後、実車率は8~9月まで下がっていた。その後は持ち直し、12~1月は戻ってきた。ただ、単価は戻らない」と依然厳しい現状を報告し、「平成12年の規制緩和から10年が経過し、功罪が問われている。受給バランスが崩れ、収入が低下している。安全に支障が出かねない」と危機感を募らせた。

また、東京電力福島第1原発事故の賠償問題にふれ、「外国人旅行者の解約分だけ補償されることになっているが。修学旅行などのキャンセルが多発し、国内団体客の損害のほうが圧倒的に多い。賠償を国内旅行の解約に拡大してほしいと要望している」と力説した。

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