日本バス協会(堀内光一郎会長)は3月14日、定例理事会を開催し、12年度事業計画・予算案を承認した。
6月21日に開く定時会員総会で正式決定する。事業計画案は運輸事業振興助成交付金事業(中央事業)に関して「12年度から中央出捐(えん)金を中止する」と明記し、中央事業は「人と環境にやさしいバス普及事業」など3事業と融資あっ旋・利子補給事業に、これまで積み立ててきた引当資産の取り崩しと基金の利息収入など計3億7千万円を充当する。
堀内会長は冒頭挨拶で、「1年前の東日本大震災の際は原発事故の避難民輸送や緊急輸送に対応し、軽油の確保が大変になるとは想像もしていなかった。外国人観光客が激減し、事業存続も危ぶまれた」と述懐し、「わずか1年でよくぞこまで戻ってきたと実感している。しかし、被災地の復興はこれからであり、経営環境の整備を含め取り組んでいく」と強調した。
当面の課題に交通基本法の早期成立を挙げ、「各協会が働きかけてくれた結果、与野党のすべての議員が重要性を理解してくれている」との認識を示し、「国会は混とんとしていて、いつの時点で審議入りするかは見えないが、内容的にはあと一歩まできている。関係の国会議員に早期成立を働き掛けてほしい」と呼び掛けた。
高速ツアーバス問題については「新高速バスへの一本化がほぼ確定し、国土交通省は新高速バスへの移行を明確にしている。高速バスにめどがついたら、貸切バスの需給問題の改善に取り組む」と表明した。
事業計画案は交通基本法の制定を前提に、高齢者などが利用しやすいバス交通や安全と信頼の向上、東日本大震災の教訓を踏まえた政府への提言とバス事業の安全防災対策を基調に据えた。
環境対策では「地球温暖化対策自主行動計画」の見直しを盛り込み、電気バスシステムの実用化調査研究などを行う。
安全輸送対策はバス事故の3割を占める車内事故防止キャンペーンや、飲酒運転防止対策マニュアルの徹底などに引き続き取り組む。
大規模災害に備え、地域のハザードマップ、避難対策などを全職員に周知するとともに、緊急連絡網・通信手段の確保をはじめ危機管理・安全防災対策を強化する。
交付金の中央出捐金(都道府県から地方協会への交付金の20%を拠出)を中止し、中央事業の助成対象は①バス利用者施設等整備事業②人と環境にやさしいバス普及事業③車両更新(中古車購入)支援事業に絞り、融資あっ旋・利子補給事業は従来通り継続する。財源はバス輸送改善推進対策引当資産の取り崩しと基金の運用利息を充てる。