乗合バス11年度収支状況 輸送人員0.1%減も

燃料費高騰で収支率が悪化

国土通省が発表した11年度「乗合バス事業の収支状況」(保有車両30台以上の260社)によると、輸送人員は38億4千万人(前年度比0.1%減)と続落したが、下げ幅は前年度よりも0.1ポイント縮小し、運送収入は7146億円(0.0%増)と4年ぶりに微増に転じた。しかし、支出が7669億円(同0.3%増)と増加に反転したため、経常収支率は0.2ポイント減の93.2%と3年ぶりに悪化した。

輸送人員はリーマン・ショック後、08年度は1.0%減、09年度は3.7%減と悪化していたが、10年度0.6%減、11年度0.1%減と持ち直してきている。
運送収入が4億円増の7146億円、支出が24億円増の7669億円となった結果、赤字額は523億円と前年度よりも20億円増え、軽油価格の上昇・高止まりで、燃料油脂費の原価に占める割合は8.3%から9.2%に拡大した。

経営形態別では、民営バスの輸送人員は29億1千万人(0.1%増)と4年ぶりにプラスに好転し、運送収入も5553億円(0.6%増)と上向いた。支出は5806億円(0.2%増)と増加したものの、経常収支率は0・3ポイント増の95.6%と3年続けて回復した。
支出のうち、原価の56.7%を占める人件費が0.1%減少した半面、燃料油脂費が10.1%も大幅に増加し、収益を圧迫した。

公営バスの輸送人員は9億3千万人(前年度比0.5%減)と下落幅は1ポイント縮小したが、運送収入は1593億円(1.9%減)と再び減収に転じた。支出が1863億円(0.4%増)と増加した結果、経常収支率は2ポイント減の85.5%と4年ぶりに後退した。

一方、地域別に見ると、3大都市圏の輸送人員は24億9千万人(0.8%増)、運送収入は4346億円(0.4%増)と、ともに4年ぶりの増加を果たした。しかし、支出は4464億円(0.6%増)と経費がかさみ、経常収支率は97.4%と0.4ポイントダウンした。

3大都市圏以外の輸送人員は13億5千万人(1.6%減)と減少幅が0.7ポイント広がり、苦戦が続いている。運送収入は2800億円(0・5%減)に対して、支出が3210億円(同0.1%減)と削減幅が小さかった結果、経常収支率は87.3%と0.4ポイント悪化した。
黒字事業者は71社(民営69社、公営2社)、赤字事業者は189社(民営165社、公営24社)で、赤字事業者が72.7%を占めている。

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