国土交通省の第8回「高速ツアーバス等の過労運転防止検討会」(座長=酒井一博労働科学研究所長)が3月7日開かれ、長距離運行する貸切バスの交替運転者の配置基準を了承した。これで「乗務時間等の基準」に上乗せする
- 新高速乗合バス
- 新高速バスの委託を受けて運行する貸切バス(貸切型委託運行)
- 貸切バスの配置基準(昼間と夜間)
がまとまり、高速ツアーバスから新高速バスへの移行期限となる7月末に施行する。
貸切バス(観光バス)の昼間・長距離運行は旅行会社から受注した際の運行計画上の運転時間が原則9時間以内(週2回まで10時間以内)などの条件を付けて、ワンマン運行は実車距離が500㎞を上限とする。
交替運転者の配置基準は500㎞超とし、1時間以上の休憩、乗務中の体調報告などの条件を満たせば600㎞に延長できる。さらに、運転時間9時間以内、週2回まで、デジタルタコグラフの装着などを要件に、ワンマンであっても600㎞を超えた運行でも認める。
夜間・長距離は運行計画上の運転時間が9時間以内、連続4回(2往復)などの条件を設け、ワンマン運行は400㎞までとする。
運行前11時間の休息、連続1時間の休憩、乗務時間10時間以内、デジタコ装着などを満たした場合は500㎞に延長する。
高速ツアーバス(昨年7月20日から適用)とスキーバス(同12月1日から適用)の交替運転者の配置基準は、7月末以降は新高速バスなど3形態の配置基準に移行する。現行の「1日当たりの乗務距離670㎞」の交替運転者の配置指針は廃止する。
富田浩安委員(日本バス協会副会長・貸切委員長)は「日バス協としても各地区の実態を精査した。基準は実態を踏まえており、異存はない。貸切バスは高速バスと異なり、旅行業者との打ち合わせで運行が決まる」と受け入れを表明し、「この基準を最低限に、より安全な運行をしていく」と強調した。
興津泰則委員(日本旅行業協会国内・訪日旅行推進部長)は「バス全体の安全に必要な制度は納得する。ただ、コストに跳ね返り、消費者に理解してもらうことが大事だ」と提起した。
委員からは「実効性の担保」を求める意見が相次ぎ、武藤浩自動車局長は「バス協会の非会員を含めて周知と実践を徹底させ、消費者にも開示する」との見解を示し、酒井座長は「内容的にはいいものができた」と締めくくった。
最終回となる第9回会合は3月26日に開き、報告書をとりまとめる。