日本バス協会の藤井章治理事長は日本バス記者会と会見で、「バス事業のあり方検討会」の報告書について、「参入規制や需給改善にもう少し踏み込んでほしかったが、高速ツアーバスは廃止し、貸切バスは追加的な規制で対応するとされた」と評価した。
高速ツアーバス問題の背景に「貸切バスの供給過剰があり、平成12年の規制緩和の中でもたらされた。規制のあり方を見直すべきだ」と主張し、「残された問題の議論を早く再開し、特に参入規制を検討してほしい」と望んだ。
業界独自に貸切バス事業者安全性評価認定制度(セーフティバス)を進めると述べ、「会員事業者に対する適正化事業は資金や体制が必要となり、できるかどうか研究したい」との見解を示した。
国に対しては「悪質な事業者は重点的に監査し、処分にはメリハリをつけてほしい」と指摘し、「参入時にはしっかり事業者確認を行って供給過剰にチャックを締め、事故を起こすような事業者は入れないようにしてほしい」と要請した。
今後の取り組みに言及し、「一歩踏み込んで健全な発展を指向できるようにしたい。高速ツアーバスの重点監査で一部に撤退の動きが出ており、少しずつ適正化してきている。収益も回復傾向も見えてきている。景気が回復して需要が拡大し、健全な事業者が育つようにしたい」と意気込み、「貸切バスは東日本大震災でも活躍し、団体旅行やイベント輸送を担っている。しっかり取り組む」と表明した。
藤井理事長はまた、バス創業110周年記念事業、消費税増税の運賃転嫁を今年度の課題に挙げた。