2016年度与党税制大綱 グリーン化特例延長 消費税10%時に取得税廃止

自民、公明両党は10日、2016年度税制改正大綱のうち消費税の軽減税率以外の項目について了承した。焦点となっていた車体課税の見直しでは、自動車取得税を消費税率10%引き上げ時(17年4月1日)に廃止すると同時に、自動車税(地方税)と軽自動車税(同)に新たに「環境性能課税」(環境性能割)を創設するほか、自動車税と軽自動車税の「グリーン化特例」を1年延長することなどが盛り込まれた。

環境性能割の導入は、廃止になる自動車取得税のグリーン化機能を維持・強化するのが目的。課税標準は自動車の取得価額で新車・中古車を問わず対象とし、免税点は50万円とする。
税率は燃費基準値達成度等に応じて決定し「非課税」「1%」「2%」「3%」の4段階を基本とする。ただし営業車および軽自動車の税率は当分の間、2%を上限とする。
乗用車(自家用)の場合、電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)、プラグインハイブリッド(PHV)と、09年排出ガス規制(ポスト新長期規制)に適合しかつ同年排出ガス基準値より10%以上窒素酸化物(NOx)の排出量が少ない天然ガス車などは登録車、軽自動車ともに非課税となる。
このほか揮発油を内燃機関の燃料とする自動車で05年排出ガス規制に適合し、かつ同年排出ガス基準値より75%以上NOx等の排出量が少ない自動車のうち、20年度燃費基準値より10%以上燃費性能の良い登録車、軽自動車も非課税対象となる。
その他ガソリン車、ガソリンハイブリッド車について、燃費性能に応じて登録車は1~3%、軽自動車は1~2%の税率が設定されている。

また営業用のトラック・バスの「重量車」(3.5㌧超)の場合、EV、FCV、PHVはじめポスト新長期規制に適合しかつ排出ガス基準値より10%以上NOx等の排出量が少ない天然ガス車はじめ、ディーゼル車やディーゼルハイブリッド車の中で排ガス要件が「16年規制適合」でかつ燃費要件が「15年度燃費基準値」より10%以上燃費性能が良い車両などが非課税扱いとなり、その他排ガスや燃費性能などに応じて0.5~2%の税率が設定されている。
「中量車」と「軽量車」については、重量車と同様の考え方に基づき、排出ガス・燃費'(15年度燃費基準)の各要件を満たすものについて、要件の達成割合に応じて税率を決定するとした。
環境性能割の税率区分については、技術開発の動向や地方財政への影響を踏まえ、2年ごとに見直しを行うとした。
環境性能割の税収規模は、17年度見込み額で約890億円。自動車取得税の15年度見込み額(約1100億円)と比べ約210億円少ない規模となる。

一方、今年度末で期限切れを迎える自動車税のグリーン化特例(軽課)については、16年度に新車新規登録された自動車について、基準の切り替えと重点化を行った上で1年間延長する。
切り替え後の基準ではEV、FCV、PHVとポスト新長期規制に適合したクリーンディーゼル乗用車を現行と同じく「税率をおおむね75%軽減」としたほか、05年排出ガス規制に適合しかつ、同年ガス基準値より75%上NOx等の排出量が少ない自動車のうち20年度燃費基準より10%以上燃費性能が良いもの(揮発油を内燃機関の燃料とする自動車に限る)をおおむね75%軽減とした。
また揮発油を内燃機関の燃料とする自動車で、05年排出ガス規制に適合しかつ、同年ガス基準値より75%以上NOx等の排出量が少ない自動車のうち15年度燃費基準より20%以上燃費性能が良いものを「おおむね50%軽減」とした。

[dfp]

今年度末で期限切れとなる軽自動車税のグリーン化特例(軽課)については現行のまま1年間延長し、16年度に新規取得した新車について適用する。
環境性能割が導入される17年度以後の自動車税及び軽自動車税のグリーン化特例(軽課)については、環境性能割を補完する制度であることを明確にした上で、17年度税制改正において具体的な結論を得るとした。
自動車税のグリーン化特例(重課)では現行のまま適用期限を1年延長し、17年度分を特例措置の対象とする。
環境性能割の導入を巡っては、15年度与党税制改正大綱で「16年度以後の税制改正において具体的な結論を得る」と明記されたものの、自動車産業界や関連団体などを中心に導入に反対する声や慎重論が根強く、車体課税の見直し論議が難航した。

2015年11月20日から本格的な論議を開始した自民党税制調査会(宮沢洋一会長)の小委員会(額賀福志郎委員長)では環境性能割の制度設計の時期を巡り、今年度の改正で具体的な結論を求める総務部会と、来年度での改正を要望する経済産業部会との主張が対立し経産、総務両部会そして経産、総務両省などによる再三にわたる調整の末にまとめられた。

大綱には「簡素化、自動車ユーザーの負担の軽減、グリーン化を図る観点から、17年度税制改正において、安定的な財源を確保し、地方財政に影響を与えないよう配慮しつつ、自動車の保有にかかわる税負担の軽減に関し総合的な検討を行い、必要な措置を講ずる」との文言も盛り込まれた。

関連記事一覧

特集記事

TOP