高速ツアーバス廃止を 政策要請と安全輸送を決議 日バス協総会・大会

日本バス協会 高速ツアーバスの仕組みの廃止などを求めた決議を採択

日本バス協会は6月21日、東京・大手町の経団連会館で第85回定時会員総会と全国バス事業者大会を開催し、12年度事業計画・予算などを承認するとともに、高速ツアーバスの仕組みの廃止などを求めた政策要請決議と「安全輸送決議」を採択した。
日本バス協会 第85回定時会員総会

役員の一部改選を行い、堀内光一郎会長と2副会長が退任し、新会長に高橋幹副会長(神奈川中央交通会長=写真)、副会長に平尾一彌(北海道)、河野英雄(愛知)、東慎也(大阪)の3氏を選任した。
日バス協は昨年4月に公益社団法人に移行した際、当時の役員がそのまま任期2年で続投した。このため、今年度は任期途中だったが、社団法人時代から2期4年務めた堀内会長は降板し、理事・顧問に推挙された。
高橋新会長は挨拶で、4月29日に発生した高速ツアーバス事故を取り上げ、「いま1度、安全最優先を実践してほしい」と訴えたあと、「この事故にはバスを巡る問題点が凝縮している。背景に貸切バスの規制緩和の影響があるのは間違いない。これまでも行き過ぎた規制緩和の見直しを訴えてきたが、一層声を大にして要望する」との立場をあらためて確認した。

高速ツアーバスに関しては「乗合バス類似行為と認識し、全面的な廃止を主張してきた。4月に公表されたバス事業のあり方検討会の報告書では新たな高速路線バスに一本化することが盛り込まれた」と経過を説明した。
新高速バスは「問題解決に向けた大きな前進」と評価しながらも、「高速ツアーバス自体の廃止に向けた通過点。廃止を実現し、健全な高速バス市場にしていく」と力説した。

国土交通省の中田徹自動車局長も来賓挨拶で高速ツアーバス事故にふれ、「衝撃を受けた事故だった。安全対策を進めてきたが、行政のあり方を見直し、再発防止と利用者の信頼回復に全力を挙げる」と表明した。
今月11日に発表した「高速ツアーバスなど貸切バスの安全規制の強化」に関連して、「ツアーバスの安全を確保するため、7月から始まる多客期の緊急措置を打ち出した」としながらも、「考え方としてはバス事業全体の安全対策に広めていく」との見解を明らかにした。

規制のあり方では「安全対策の最大の重点はいかに実効性を上げるか、基準を守っていない事業者を排除し、是正するかだ。参入規制も見直すが、いま動いているコンプライアンスが十分でない事業者をいかに退場させるかを一生懸命やっている」と理解を求めた。

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