国土交通省自動車局 規制見直す
国土交通省の中田徹自動車局長は6月28日の記者会見で、民主党国土交通・厚生労働合同部門会議が6月5日にとりまとめた提言「高速ツアーバス問題への対応策」について、「真摯に受け止め、6月11日に今夏の緊急対策を発表した。残された課題も順次具体的に検討する」と述べ、「検討の場はまだ決まっていない」としながらも、提言に明記された参入規制のあり方や事業許可の「更新性」を検討する意向を明らかにした。
中田局長は「民主党合同部会では高速ツアーバス事故をきっかけに対応策が検討されたが、自動車運送全般の規制のあり方や見直しが指摘された」と受け止め、「トラック将来ビジョン検討会ワーキンググループ(WG)も党の指摘を踏まえながら検討する必要がある」との認識を示した。
将来ビジョンWGの第5回会合は「できるだけ早く開き、方向性を議論したい」とし、「論点を最低車両数、適正運賃の収受、市場構造の健全化に整理したが、今回、安全対策が加わった。視野を広げて議論する必要がある」と述べた。
議論の方向性としては「需給調整規制の撤廃により、安全上問題のある事業者が参入してきているのならば、規制のあり方を見直さないといけない」との問題意識をのぞかせた。
具体的には「最低車両台数か、それ以外の考え方でいくかはこれから議論する。参入規制のあり方をいろいろな角度から検討するが、安全性を高めるために対策を強化することにより、結果として参入は厳しくなると思う」と示唆した。
また、参入規制の強化は同時に既存事業者にも波及すると指摘し、「例えば最低車両数を20台にすれば、既存の事業者も猶予期間を置いて同じ台数を確保してもらう。安全性を高めるのに不可欠なのは参入規制の強化だけではない」と訴え、「既存の事業者の安全の知識を問わざるを得ないとなれば、更新制も考えられる」と更新制に言及した。
そのうえで、「貸切バス(の参入時に)平均車齢を設定するとなれば、既存の事業者も同じにしてもらう。高いレベルのサービスを目指すことに理解と認識が得られ、それによって正直者がバカを見ることがなくなる」と述べ、「付いていけない人にはやめていただく」と言明した。
中田局長は「バス事業のあり方検討会」の「貸切バス運賃・料金制度等WG」は当初方針通り立ち上げ、「専門性が高いテーマなので、タタキ台を作るために事務家や専門家で議論したい」と説明し、「参入規制のあり方をどの場で議論するか、あり方検討会の再開もあるかもしれない」と示唆した。