国土交通省の「バス事業のあり方検討会」(座長=竹内健蔵東京女子大教授)は11月9日、第8回会合を開き、審議を再開した。
「新高速バス事業」の創設などを提言した6月14日公表の中間報告を具体化するため、事務局から①新高速バスの運行委託契約の基準は200㎞以上の運行系統とする②新高速バスで運行する系統ではツアーバスは認めない③運行ダイヤと運賃の事前届出を7日前に短縮し、基本運賃は50%の幅を持たせるなどを提案した。
検討会は今回を含め年内に3回開催し、国交省は省令・告示・通達の案文をまとめ、11月か12月初めにはパブリックコメントを行い、遅くとも来年3月末までに新高速バス関連の法令を施行したいとしている。
中間報告は、旅行業法に基づき募集型企画旅行商品として提供される高速ツアーバスと、高速乗合バス(高速バス)を折衷した形の「新高速バス事業」を新設し、高速ツアーバス事業者に道路運送法上の事業許可の取得を求めるよう提言した。
新高速バス事業は「柔軟な車両調達」を可能にするため、貸切バス事業者に委託を認める管理の受委託制度を創設するとし、運賃・料金規制や運行計画規制などを見直すと明記した。
この日の検討会では、事務局から管理の受委託は需要の波動に対応していることから、高速バスの需要動向を調査・分析結果を踏まえて、運行系統が200㎞以上でアウトソーシングを認めたらどうかと提案した。これに対して、主にバス業界の委員から「長距離は300㎞以上が通常の感覚」などと延長を求める意見が出された。その一方、「観光路線など短距離でも需要の波動がある」「200㎞以上は全面的に認め、それ以下でも需要に波動性があれば認められるべき」と見解が割れた。
ツアーバスが新高速バス事業に移行した場合、例えば東京~大阪間を運行する場合、同系統ではツアーバスの運行を行わないことを許可条件にする案を示した。
運行計画(ダイヤ)と運賃については、インターネット予約が増加している現状を考慮し、事前届出の期間を現行の30日前を7日前に短縮する方向を提示した。
運賃については上限制にして、上限から50%の幅運賃を認める。例えば上限2000円とすると、1000~2000円の範囲内で需要に応じて運賃を上下させて収益を確保できるようにし、事前届出は往復割引など券種ごとの設定を想定している。
そのほか、空港リムジンバスは現行では50㎞以下を上限届出制、50㎞以上を事前届出制にしているが、新高速バスと同様に事前届出制に統一し、ダイヤと運賃設定の事前届出も30日前から7日前に緩和する。
完全予約制の高速バスの規制を緩和し、う回運行と乗客がいなくなった場合の運行打ち切りを認める。う回運行は現行でも渋滞が発生した時には許容しているが、「渋滞の恐れがある場合」を追加し、週末などに高速道路会社(ネクスコ)などの渋滞情報でう回できるようにする。
キャンセル料も見直し、高速バスはツアーバスに比べ安いため、運賃に応じた率を検討する。
「乗合バスと貸切バスの併用を緩和してほしい」との要望を受け、昼間は貸切バスとして使用し、夜間は帰宅バスとして運行するなど車両の有効利用を検討する。
検討会は第9回の30日、第10回の12月21日開催が確定しており、第11回は来年1月下旬、第12回は2月下旬に開き、3月中旬の第13回会合で最終報告書をまとめる。